共感で人を動かすデザイン:太陽(not北風)な顧客誘導

WordPressをインストールにあたって登録した、SPAM対策ツールのAkismetのDonation(寄付)への誘導ページが、とてもシンプルに感情移入(共感)に訴えるウェブデザインだったのでメモ。

社会学者の恒吉僚子氏が『人間形成の日米比較 かくれたカリキュラム』で明らかにしたような、相手の感情に働きかけて行動を促す「日本型」の仕組みが米国のサービスで実現されていたように思われて、とても興味深いです。

その仕組みというのはとてもシンプルで、サイト上のフェイスアイコンが、寄付金の額を増やすと嬉しそうに、額を減らすと悲しそうに変化する、ただそれだけ。

akismet

 

顔アイコンでサイト運営者の気持ちを伝える。そして、その運営者の気持ちに感情移入させて、運営者が喜ぶなら/悲しく思ってほしくないから寄付金を増やそう、というモチベーションを利用者に起こさせる。
その流れをとてもスマートに作っているように思えて、感心しました。

ネット上でさんざんネタにされるWikipediaの寄付キャンペーン(「金がないとサービスが維持できません」)に見られるような直接的に必要性をアピールするアプローチが、童話「北風と太陽」の北風型アプローチだとすると、この自然と感情に訴えかけるAkismetのやり方は太陽型アプローチとでも言えそうです。

自分(の必要性)をアピールして価値を認めてもらう / 必要なことは命令してやらせる、という北風型の態度は、米国社会において当たり前に内在するものであり、教育の場でも自然と植えつけられる、というのは社会学者 恒吉僚子氏が名著『人間形成の日米比較―かくれたカリキュラム (中公新書)』にて指摘するところです。
それと比較して、日本においては、相手の感情を良くする / 害さないようにすることを重視することで調和を保つ社会であり教育のあり方である、というのが同氏の分析でした。

Akismetのアプローチは、米国のサービスながら、そういう日本人的な行動決定プロセスにぴったり適合していることになります。日本における、サービスなり画面なりのデザインにも、けっこう大きなヒントとなりそうです。

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