本当にイギリスの自動車税は旧車に優しいのか?

平成26年度税制改正によって、新車新規登録から13年を経過した車は自動車税が15%増加となりました(グリーン化税制)。この新型車のみを優遇する措置に対し、旧車に優しい税制であるイギリスの自動車税制を見習うべき、との意見をタイムライン上で見かけたので、本当にそうなのか、ちょっと調べてみました。

結論から言うと、イギリスの税制は日本の多くの人が考える「旧車」にちっとも優しくありません。

まず、イギリスは歴史的な車(Historic Vehicles)に対し、自動車税(Vehicle Tax)が全くかからないのは事実です。イギリス政府のサイト「Information on how to tax a vehicle in the historic vehicle tax class.」によると、『1974年1月以前に製造された自動車』は課税対象外とのこと。

1974年… トヨタのハチロクが世に出る10年前の話です。。少なくとも日本の重課税対象なりたての13年前の車には一切関係のない話なのは間違いない。

じゃあ、イギリスの十何年か前の旧車の扱いはどうなっているのか、という情報は『Vehicle tax rate tables』から調べられます。以下はそこから作成した表。

2014-15 Vehicle Excise Duty (Petrol/Diesel)
WS000002

 上の表のとおり、2001年3月より前に登録された車かどうかで、扱いが異なります。01年3月(今から14年前)より後に登録された車はCO2排出量(燃費)に応じた課税、それ以前の車は排気量に応じた課税となっています。つまり、日本は13年、イギリスは14年くらい(執筆時の15年5月基準)経つと「旧車」扱いになって課税の考え方が変わるということ。

んで、イギリスの旧車の税額のイメージを掴むため、日本車代表として2000年8月~2001年9月生産モデルのカローラの場合どうなるかを考えてみます。
カーセンサーのカタログで把握できる最も燃費の悪いカローラ 1.8 ラグゼール 4WDモデルは燃費13.4L/km(CO2排出量0.17kg/km)なので

登録時点が異なるカローラ1.8 ラグゼール 4WDモデルに対する
イギリスの自動車税額の違い
WS000001

 イギリスの税制でも、登録から14年たっただけで同一車でも15%税額が高いという結果に。。あれ? この結果は、日本と変わんない。。

しかも、この税額増の傾向は燃費が良い車ほど顕著になる(旧車は燃費が勘案されず排気量のみで課税額が決まる)ので、同じ年式カローラの1.3X ⇒ 燃費20.0L/km(CO2排出量0.116kg/km)の場合、旧車扱いになっただけで税額が30ポンド/年(5,445円/年)から、145ポンド/年(26,315円/年)に跳ね上がります。うーむ、そんな制度設計でだいじょうぶか??

加えて、イギリスの自動車税制は、日本以上に環境負荷の大きい車に厳しいように思われます。e燃費で調べた値をベースに推計してみると、2001年以降の車でも1501cc-2000ccの車種のうち、最も燃費の悪い車、WRX STI 2000cc(VAB)MT 4WDの場合はイギリスの自動車税額は485ポンド/年(88,022円/年)、それより少し燃費の良いレガシィB4でも265ポンド/年(48,094円/年)となり、日本の39,500円/年より高額です。

こういう税制になっているのは、イギリスにはまともな自動車メーカーが残っていないので「産業のことは置いといて環境のことだけ考えてればいい」という側面もあり、環境性能以外を追求した車に対しての税制上の風当たりは、日本以上に厳しいのではないかと思います(Historic Carを除く)。”TOP GEAR”の国でそんなことになってるのは、微妙な感じもしますが…

結局、イギリス人が考える歴史的な車は40年より昔に作られた車であって、日本人が考える良い旧車とは異なっている。だから、日本に旧車文化を作るなら、イギリスを見習うのではなく、日本独自のアプローチが必要になるんだろうな、と。

*燃費データからCO2排出量の換算(二酸化炭素排出係数)はガソリン/1Lにつき/2.31kg-CO2 を使用
**ポンド / 円換算は執筆時点の1ポンド=181.487806円 を使用

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